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経管栄養・胃管栄養 |
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蟹江治郎*
*愛知県厚生連海南病院内科
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長寿科学事典 第一版 医学書院 東京 2003: 271-272 |
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近年わが国では高齢化の進行とともに、経管栄養を必要とする老年者数も増加の一途をたどっている。従来、経管栄養の方法は経鼻胃管栄養が中心であったが、近年は内視鏡的胃瘻造設術(Percutaneous
Endoscopic Gastrostomy以下PEG)が急速に普及しつつある。
経鼻胃管をりようした経管栄養投与法は、経鼻胃管チューブの挿入が簡便であることから多用されていた。しかし、長期留置を行う際には、患者の不穏状態の惹起、チューブの自己抜去、留置に伴う接触性潰瘍の発生や胃食道逆流の増加など、多くの問題点の問題点を有し、長期経管栄養を必要とする症例に対しては継続を困難にする要因を多く持っていた。一方PEGは、経鼻胃管の持つ長期管理における問題点がなく、本人の苦痛軽減や介護行程簡素化が計れることから、禁忌のない限り、長期経管栄養管理を受けるものはPEGの適応と考えて良い。しかし、全身状態が不良の症例に対しては、PEGの造設時にみられる合併症は決して少なくなく、状態に応じて経管栄養投与法を選択するのが望ましいと言える。
PEGの合併症には、PEG術後に瘻孔が完成する前に発生する急性期合併症(瘻孔完成前合併症)と瘻孔が完成した後に発生する慢性期合併症(瘻孔完成後合併症)があり、急性期合併症はさらに感染性合併症と非感染性合併症に分類される。合併症の頻度は筆者らのPEG500例経験では、急性期感染性合併症は20.5%、急性期非感染性合併症は6.2%、慢性期合併症は10.5%であった。
PEGが初めて報告されて以来20年上が経過し、PEGの手技や方法に関してもさまざまな報告がなされている。手技としては、胃瘻を経由し空腸までチューブを挿管する経胃瘻的空腸栄養チューブがあり、胃食道逆流をきたす症例に対して有効な栄養投与法となっている。チューブに関しては、体外に胃瘻チューブの突出がない“ボタン型”チューブも普及しており、症例による選択の幅も広がりつつある。
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