内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
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Q18 胃瘻栄養で半固形化の適応となる患者とは?
ふきあげ内科胃腸科クリニック   蟹江治郎
ニュートリションケア 12月号 MCメディカ出版;2012;5(12),36-37. 
   
 胃瘻栄養の半固形化の適応は,使用する栄養剤が液体であるがための合併症がある症例です.胃は摂取した食物を一定時間貯留しつつ,少しずつ腸へ移送する役目があります.そのためには,噴門という生理的狭窄部で胃食道逆流を防止し,幽門という生理的狭窄部で腸への急速な食物移送を防いでいます.しかし液体栄養は,通常摂取する食物に比較して流動性が高いため,それらの狭窄部の通過を容易にします.その結果,噴門の通過性通過性が容易になり胃食道逆流を,幽門の通過性が容易になることにより下痢を,また,胃瘻患者においては瘻孔の通過性が増して瘻孔からの栄養剤漏れ(=栄養剤リーク)の原因となります(図).胃瘻患者において,胃食道逆流,下痢,栄養剤リークの症状に遭遇した際は,その原因となる疾病の鑑別診断を行い,原疾患を否定した際は,栄養剤の物性,つまり栄養剤が液体であるが故の問題ではないかを検討すべきです.そして液体栄養の物性が問題の原因と考えられる場合は,積極的半固形栄養の導入を推奨します.
一方,逆に液体栄養の適応についても考えるべきでもあります.液体栄養は,かつて経管栄養投与法で主たる方法であった経鼻胃管からの注入を可能にするために液体である必要がありました.一方,半固形栄養の注入が可能な胃瘻患者においては,様々な合併症の原因となる液体栄養を選択する理由は希薄であり,さらに市販の半固形栄養が入手可能になった近年においては,むしろ液体栄養の適応の方を考え直すべきなのかもしれません.

図1 半固形栄養の導入を検討すべき液体栄養の合併症
液体栄養の問題点
蟹江治郎:胃瘻(PEG)ハンドブック,第1版,医学書院,東京,2002より転載

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